ヌーボーのいろいろ

ボジョレーヌーボー

 今年もボジョレー・ヌーボーの季節がやってきましたね。

 日本がまだバブルの頃までは、空港に到着した飛行機から膨大な量のワインケースが積み下ろされる光景がテレビ番組で大々的に報じられたものでした。日本は時差の関係でパリより9時間早く飲めるということからマスコミがはやしたて、街のレストランや酒屋ではボジョレー・ヌーボーを祝う人々であふれんばかり。こりゃ、ハロウィンかバレンタインかと思えるくらい、街中が大変なお祭り騒ぎになった時代でありました。

 今ではあまり話題にも上らなくなってしまったワインですが、そもそもボジョレー・ヌーボーって何でしょうか。

 ボジョレー・ヌーボーとは、フランス全土で一番早く出荷できるワインで、その年に収穫したブドウ(ガメイ種)から造られるフレッシュな新酒のこと。ヌーボーとは「新しい」という意味のフランス語で、現地ではプリムールと呼ばれることもあります。

 ヌーボーは新酒ですから、実はフランス以外の国にもあったりします。

 イタリアではノヴェッロ、ドイツではデア・ノイエ、オーストリアではホイリゲ、スペインではビノ・ヌエボ、日本では山梨ヌーボーが有名です。

 フランスのヌーボーの解禁日は、1984年頃までは11月11日と固定された日でしたが、年によりその日が日曜、祝日にあたると街中の酒屋がお休みとなり、不便が生じたことから、以降、11月の第3木曜日と定められました。ちなみにイタリアは10月30日、ドイツは11月1日、スペインとオーストリアは11月11日が解禁日。

 昔、11月にオーストリアに旅行へ出た時のこと。クリムトに代表されるウィーン分離派のセセッション館を観た後、居酒屋が道の両側に軒を連ね、観光名所にもなっているウィーン郊外の町、グリンツィングとハイリゲンシュタットを訪ねました。

 家族経営で営む居酒屋のことを、新種と同じく「ホイリゲ」と呼ばれます。

 新酒を提供できる準備が整うと、ホイリゲの軒先には目印となる「松の小枝の束(珠)」が吊り下げられます。

 まだ甘いニュアンスの残る新酒に浸りながら、まったりしていると、アコーディオンやバイオリン、ギターなどの楽器を持ったおじさん、おばさんが店内に流れ込んできて、急に即興生演奏を始めました。その後はお客みんなで大合唱。地元の古き良き時代の大衆音楽を聴きながら、ワインをお代わりし、思い出に深く残るステキな時間を過ごせたのでした。

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