スリル満点!ロンドン地下鉄とバス

素敵な旅と海外のくらし

2011年頃のロンドンの市営地下鉄のお話です。

当時は毎日、ビートルズの歩いた横断歩道とアビーロードスタジオが近くにあるセント・ジョンズ・ウッドの自宅から、トラファルガー広場のオフィスまで、地下鉄ジュビリー・ラインとベーカールーラインを乗り継いで通っていました。

最初の頃は、地下鉄が止まったり、おくれたりしてあせっていましたが、次第にこれが「あたりまえ」になり、今度はどんなことが起こるのか、と想像すると快感すら覚えるようになりました。

鉄道発祥の地、イギリス

鉄道が世界ではじめて実用化されたのは、産業革命発祥の地、イギリスです。

1825年にイギリス北東部の街を世界ではじめて蒸気機関車が走りました。

ロンドンでは世界初の地下鉄(メトロポリタン・ライン)が1863年、パディントンからファリンドンまでの6㎞間で開業したと言われています。

トンネルの形状に由来して「筒」や「管」という意味の「Tube」の名で愛される地下鉄は、今からなんと約160年前に営業が始まったことになります。例えば、信号制御システムは1950年代に作られたものもまだ現役で働いていますから、これだけ古ければトラブルが多いのもうなずけます。

地下鉄が遅れるわけ

地下鉄が遅れる理由の第1位は、断トツで信号機の故障、2位が車両の故障、3位は水漏れか停電。

そして、駅員や運転手の急に休んでスタッフが足りなくなるのも理由だったりします。

路線の全長は408km、駅数は275駅、利用客数は毎日300万人にのぼり、1ヵ月で最大9千万人が利用する地下鉄。

ただ、老朽化や人為的な理由で、ピーク時に走る地下鉄のだいたい20本に1本は故障などの理由でシラッとキャンセルされます。

2012年ロンドンオリンピック開催をきっかけに、環境への配慮も手伝って、当時のロンドンは、輸送力の増強をめざし、老朽化した地下鉄の大規模な改良工事をスタートさせていました。

 ところがオリンピックの8年前から始まったこの工事、なかなか終わらず、複数の路線が毎週のように、一部または全線で不通になっていたのを覚えています。

地下鉄の工事は、コストが安くて作業が効率よく進められるという理由で、土日に集中して行われていました。

2010年9月までの過去1年間で、ハマースミス&シティラインは112日間、ディストリクト・ラインとサークルラインは90日間、工事のため不通に。

東京でいえば、総武線と地下鉄大江戸線が週末になると、利用できなくなる感じ。

乗客の便利さとコストをてんびんにかけて、妥協せずに思い切ってサービスを削る発想に、イギリス流の大胆さを見てとることができます。

私が毎日、愛用していたジュビリー・ラインは最も新しい地下鉄ですが、オリンピックのメイン会場へ通じる基幹路線ということもあって、信号改良を中心とした工事がたびたび行われ、1年半遅れでようやく再開しました。

改修を終えてからも、4月には信号塔が落下して不通になったり、全線で2度ストップして、乗客がトンネルや線路を歩かされるハメに。現地のBBC放送でも大きく取り上げられて、さすがに怒りを抑えられない市民たちの様子が映っていました。

(かまぼこのような形のTube
セントラル・ラインのオックスフォード・サーカス駅で)

 

(地下鉄の改良工事で不通になる区間を知らせる記事)

バスも遅れるわけ

ついでに、バスの話に変わりますが

ロンドンは地下鉄に加えて、おなじみの赤い2階建てバスが走り、網の目のように路線が張り巡らされていますから、移動はとっても便利です。

ただ不思議なことが起こるので、時間には余裕をもって行動することが大切です。

例えば、運転手が路線途中で交代するために、バス停で5分以上留まったりします。

迷惑にも道路工事を日中にふつうにやってたりするんで、バスがふだん通っている道を使えず、迂回したり、大きく遠回りすることなんかも。運転手さんのアナウンスでdiversionという言葉が聞こえたら、その時は注意が必要です。

また突然、行き先が変わったり、目的地まで行かずに途中でストップしたりっていうのも日常茶飯事。

途中で降ろされた場合には、運転手からTransfer Ticket (トランスファーチケット)をもらって、後から来るバスに乗り換えることができるので、まぁ良いっちゃ良いですが、不思議です。

いろいろ理由はあるようですが、その一つに、GPSをもとにすべてのバスの位置やスピードを把握してバスへ指示を出す「運行監視システム」が、どうやらきちんと働いてくれないことによるようです。

また、バスに乗るときは「オイスターカード」という日本のSuicaのようなカードを使います。
「ラッキー!」と思うのは、バスの中にあるカード読み取り機が時々こわれていて、タダで乗せてもらえること。もう細かいことは気にしない感じが大好き

(写真は2010年 Lord Mayor’s Showで)

まとめ…でもそんなロンドンが大好き

 イギリスでは、フレキシブルワークと呼ばれ、フレックスタイムを含むさまざまな柔軟な働き方を多くの会社が取り入れていますから、朝、電車やバスが遅れて、ダッシュしたり、這ってでも会社に行くなんていう、発想はありません。冬の朝にちょっと雪が降ったりすると、あちこちで交通がマヒするんで、来ないスタッフが増えたりします(笑)。

 日本のように、毎朝、秒単位で電車が動き、整然とバスが運行されるのは「奇跡」だといっても言い過ぎではありません。それでいて、電車が1分でも遅れると、ていねいなアナウンスが流れたり、乗客が不満をぶちまけたりするのは、現場の裏で働いている人たちへの尊敬が足りません。

 私たちは毎日、奇跡を体験できているわけで、これがあたりまえだと思ったら、バチが当たるというものです。

「日本の常識は世界の非常識」「世界の常識は日本の非常識」とよくいわれますが、私たち日本人は、もっともっと「ゆとり」と感謝の気持ちを忘れずに、日々の幸せをかみしめて暮らし、働きたいなぁとつくづく思います。

タイトルとURLをコピーしました